かつお節ってどんなもの?



今日のかつお節の元となったものは神社の屋根の上に載っている「かつお木」であると伝えられています。
漁獲したカツオを竪穴式住居の屋根の上に干して保存食としたのでしょう。
乾燥するとうまく固まるカツオは、やがて煮てから煙で燻すとなお一層保存に効果が有る事も解りました。
ところで日本の国には梅雨が有りますが、かつお節にも当然カビが生え保存食を駄目にしてしまいます。
そこで知恵を出し合った結果、悪いカビが発生する前に良いカビを全体に発生させる事を考え出しました。
そうして現在のようなカビを全体につけたかつお節が出来たのです。

なにかと多忙な現代では石のように硬いかつお節を削って使用する人は減り、すぐに使用できる花かつおや削り節が従来のかつお節に取って換わりましたがそこには大変大きな転機があったのです。
第二次世界大戦(大東亜戦争)に敗れた我国は食糧難で餓死する人も少なくありませんでした。
そのような時代に、仕上げるまでに数ヵ月要する硬いかつお節よりも一週間程度の燻乾で仕上がった荒節(本節に仕上る途中でカビが発生するまでの物)を削った花かつおが重宝され、大勢の人が利用し喜ばれました。 花かつおは戦前からすでに存在しましたが消費は少なかったのです。
これを境にかつお節の本流は「花かつお」や「かつおパック」になり本来のカビのついた本節や亀節は本流からはずれました。

和食の調味の根源となるかつお節ですが、和食は微妙な味覚を持っています。
その為に「かつお節」「まぐろ節」「宗田鰹節」「さば節」「ムロ節」「うるめいわし節」「かたくちいわし」の節「まいわし」の節、とあり、それぞれの料理によって利用される節も違ってきます。
おしたしのトッピングにはまぐろ節で血合いを取り除いて糸状に削った物が好まれますが、お好み焼きやたこ焼き、焼そば等の一般的なトッピングには花かつおや、それを粉砕した物が多く用いられ、また おすましや茶碗蒸、煮合わせ、煮物にはかつお節が使われます。
そばやうどん等の麺類のだしには節類が欠かせないし、まずそれらに使用される量が一番多いのではないでしょうか。

そこでちょっと詳しく分けて見ていくと、そばの付け汁は宗田鰹節が主となりさば節やかつお節を少々加える事もあります。これらは東京の好みと言えます。
名古屋方面では、きし麺類にムロ節やサバ節または宗田鰹節等が利用されます。 
関西のうどんではうるめ節、いわし節、サバ節、ムロ節等に昆布を加えたものからダシを作ります。但し関西でもそばには宗田節が使用されます。
宗田節の東京  ムロ節の名古屋  うるめ節の大阪
各地それぞれ好みが分かれるところです。
特に東京だけはカビ付の節を重宝しますが、かけ汁、呑むつゆ、付け汁、とその目的やその土地の水質、味の好み、他の調味料(濃口醤油、淡口醤油、昆布)などから使用するかつお節類の種類も違ってくるのでしょう。

さて、かつお節はイノシン酸。昆布はグルタミン酸。椎茸がグアニール酸。と異なった旨味成分がそれぞれには有ります。我々人類の食文化の進化に伴い、これからは洋の東西を問わず美味しい食品は利用されていくことでしょう。
西洋料理や中華料理にかつお節を使ってみてください。
トッピングによし、混ぜ込んでよし、抽出したおだしをさり気なく使ってもよし。必ず美味しい料理が出来上がりあなたはきっと皆から喜ばれ尊敬されることでしょう。
そこで だしの抽出方法を覚えて下さい。単純で簡単です!
沸騰している湯の火力を落としてから削り節類を入れます。だし取りのコツは絶対に沸騰させないこと。入れた節がゆっくりと対流する火加減にして下さい。1分でも10分でもよいのですが、やがてアクが出てきます。アクは粗脂肪の多く含まれている節ほどよく出ますから、それをしゃもじなどですくい取って下さい。 火を止めたら次はだしを木綿などの布でこします。
直ちにだしこしが出来ない時は少量の塩を入れておきましょう。 
あとは自分の好みで調味してください。白だしで保存すれば味は落ちません。
よく「二番だしを取る」といいますが花かつおのような薄削りの物からはほとんど取れません。 関東の厚削り(1mm)では取る事が出来ますが、基本的に二番だしは非常に味が薄いことも知っておいて下さい。
1分でさっと取っただしは癖が少なく美味しいですが、夏場では3時間程度で味が変質してしまいます。10分程度時間をかけて抽出しただしは次の食事まで変化しないでしょう。
先祖代々古くから伝わる料理話などでは一刻とか半刻(2〜1時間)と大層長時間をかけたようですが、これは食中毒を防ぐ意味もあったのでしょう。

節によって脂肪の含みかたが違いますが、脂肪が皆無だと旨味も有りません。
反対に多過ぎるとしつこい味のだしが取れます。
味噌汁やおばんざいの野菜を煮るのには ある程度しつこいものが良いでしょう。
一つの節から取っただしでも上手に取るのと下手に取るのでは全く違った味のだしになります。
いろいろと実際に試してください。